轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页
小窓の頭の最高点から南に突き出して、三窓の北の窓枠となっている大岩柱が、鍬形の右の内面に鮫の歯のように尖った黒い頭をポツンと見せる。続いて五つ六つの峰頭が狼牙を刻んで、最後に挟虫が尻を擡げたように、双鈎の尖りを対峙させた峰から始めて偃松の蒼黒い緑が溶けて滴って、更に凝って鮮かな緑を敷き延べた美しい若草の斜面に続く、深山毛莨、大桜草、四葉塩竈などの黄や紅の花が、もうひたひたと雪渓の側まで歩み寄って、尖った神経に寛ろぎを与える。
左側の岩壁は一層尖り方が甚しい、大小幾多の峰尖が殆んど皆直立しているので、劒戟冲天の有様を呈している。雪渓の中央に立って、この牙のように駢立して鋭く突立った両側の岩壁を見上げると、何かしらん地質時代の或る巨大なる動物が、胴体を地下に埋没された苦し紛れに大きな口をカッと開いて、上顎と下顎とをむき出したまま化石となっている其中へ飛び込んだような気がする。風雨氷雪幾百万年、肉の落ちた齦のあたりには、それでも幾種かの高山植物が纔に培われてはいるが、堅い硬い岩骨は恐らくは遠い未来まで、その悲痛な最期を語るにも似た凄惨な光と色とを失わないで、此三窓の雪渓の上に突立っているのであろう。