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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页

青空文庫

一条の裂目が雪田を横断して深さ六、七尺の溝を穿っている先に、小山のような雪の高まりがあって、向う側は山からにじみ出した水の流れが、氷河の如く堅く凍ったまま浅葱色に冴えていた。雑木の繁った山の裾を廻ると河は稍や右に折れて長い雪渓が始まる。

此処から左に梯子谷の細渓を辿って、別山と黒部別山とを連絡する尾根の鞍部へ登るのは容易であるが、内蔵助平に向った側は一面に藪が繁っていて、通り抜けるのに骨が折れるそうである。金作の話に拠ると、内蔵助平は熊や羚羊や猿などの好猟地で、以前は糧食を携えて五日乃至一週間と狩り暮したことがあるという。内蔵助谷が南北の二股に岐れた其間に抱かれている稍や広い窪地は、如何にも笹がひどいということである。其附近には内蔵助の岩屋と称する洞窟があって、広さは八畳敷にあまり、優に二十人は泊れるそうだ。昔佐々成政が十五、六人の従者と共に八日間も匿れていた所だと話して呉れる。こんな山奥の窟に匿れて居れば、成政でなくとも容易に探し出される気遣はあるまい。

河の中には大きな岩が半身を抽き出して※々している。流石にこれは圭角が鈍い。残の雪が夫から夫へと蜘蛛手に橋を架け渡す。