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かれがころしたか

彼が殺したか

浜尾 四郎

「新青年」1929(昭和4)年1~2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,336 字 · 83 页

青空文庫

然し、清三のような男は、態度は却って反対を表わす事が多いのだから何とも云えないけれど。

あの日俺は招かれたわけではなかったが、丁度ひまだったので遊びに行ったのだった。偶然友田が来合わせたので、夕方マージャンが始まったのである。

俺は此の遊戯の間にも、常に恋人に対して居るという喜びと、人妻と恋し合って居りながら、而もたがいに如何ともする事が出来ず、僅かに遊戯を共にして楽しむという、ひどく感傷的な感激にひたりつづけて居た。

嵐になったので俺はどうせ帰れないつもりだったから、全然他に気をちらさずにマージャンに耽り、恋のよろこびと悲痛とを味わうことが出来た。

八圏目に入っても勝負は一こう荒れなかった。その西風の時である。大きな手が道子に出来たのは。

否出来たというより出来上らせてしまったのだ。その時は、西風で清三が親であった。俺は清三の上に居て丁度道子の対面になって居たのである。ところが、めくりが四回位廻ってしまうと、道子は四万五万と切って来た。つづいて一筒三筒と切って次に門風を一枚切ったのである。此の時、飜牌は早く方々から出て居るのだし、道子は総かくしの手ではあるが、索字を、一個も捨てて居ないのだから、道子が索字の清一色を企てて居ることは誰の目にも明かなのである。