轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川英治『忘れ残りの記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:忘れ残りの記、年譜。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,050 字 · 383 页
今日からよろしくお願い申しますッて」と、その二重頤でさし招き、ぼくが側へ行って畏まったお辞儀をすると「こちらが、おかみさんよ」と、無造作に言った。
おかみさんは四十前後に思われた。近藤夫人とはあべこべに瘠せ過ぎている。薄化粧をしていてさえ黄疸病のような艶のない皮膚をしていた。銀杏返しというのか、ひッつめた日本髪に結っているので、生え際の薄い毛がみな眼ジリを吊り上げる為にあるものみたいに見えるのである。それに歯まで黄色くて汚らしい。よほど煙草好きなのであろう、長煙管を手から離さず持っていた。そしてぼくが初めて主家の主婦から云われたことばは、
「ま、ずいぶん小ッちゃいわね。十四なの。これで十四」
ということだった。
ここへ来る時、家から人力車に積んで来た大きな荷物が、ほかの奉公人たちの手でそこへ運ばれた。おかみさんは「あら、あら。たいへんなお荷物ね」と、ちょっと呆れ顔して近藤夫人へ何か又、ぶつぶつ口叱言をもらしていた。近藤夫人は親代りにしても卑下し過ぎるほど従順に、云われる儘大きな風呂敷づつみを解き初め、一応おかみさんの前に持参品の点検を乞うといった風だった。