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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页
申すまでもなく、普通の女でありましたならば、二三年のうちに、月のものが初まれば、そのまま血がとまらずに死んで行かねばならぬからであります。傷さえしなければ、死をふせぐことが出来ますけれど、この自然に起こる傷は如何ともいたし方がありませんから、ただ、神さまに御すがりするより外はなかったのであります。
私も、母から、その訳をきかされて心から神さまにおいのりをしました。兄が顔に小さな傷をして、医術の施しようがなく、そこから出る血を灰にすわせて、だんだん蒼ざめて死んで行った姿は、今もまだ私の眼の前にちらつきます。ああ、恐ろしいことです。恐ろしいことです。
すると、神様は私たちの願いをお叶え下さって、私は十七歳になっても二十歳になっても月のものを見ませんでした。二十五歳になっても、やはり変りはありませんでしたから、もう母も大丈夫だと安心したことでしょう。その年の夏に私一人をこの世に残して死んで行きました。臨終に至るまで、母は私に向って、決してお前は嫁いではならぬ、嫁げば子を生むときに死んでしまう、下山家は、お前が死ぬと共に断絶する訳だから、せめて百五十歳までお前は生きのびてくれと申しました。