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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页

青空文庫

呪われの家

一

一

近ごろ名探偵としてその名を売り出した警視庁警部霧原庄三郎氏は、よく同僚に向ってこんなことを言う。

「……いくら固く口を噤んでいる犯罪者でも、その犯罪者の、本当の急所を抉るような言葉を最も適当な時機にたった一言いえば、きっと自白するものだよ。ニューヨーク警察の故バーンス探偵の考案した Third Degree(三等訊問法)は、犯人をだんだん問いつめて行って一種の精神的の拷問を行い、遂に実を吐かせる方法で、現にアメリカの各警察では、証拠の不十分なときに犯人を恐れ入らせる最良の方法として採用されて居るけれども、僕はどうしても、「サード・デグリー」を行う気にはならない。そんな残酷な方法は用いないでも、極めて穏かに訊問して、最後に一言だけ言えば犯人は必ず自白するものだ。けれど、若しその一言の見当が外れて居たら、こちらの完全な失敗であるから、更に初めから事件を検べなおさねばならない……」

霧原警部のこの特殊な訊問法は、警察界は勿論、一般法曹界でも極めて有名になった。そればかりでなく、犯罪者仲間でも評判で、霧原警部の手にかかったら所詮自白しないでは済まぬとさえ恐れられて居るのである。