轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おしみなくあいはうばう
惜みなく愛は奪う
有島 武郎
「有島武郎著作集 第一輯」叢文閣、1920(大正9)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 页
復活していたろうか。神によって罪の根から切り放された約束を与えられたろうか。
神の懐に飛び入ったと空想した瞬間から、私が格段に瑕瑾の少い生活に入ったことはそれは確かだ。私が隣人から模範的の青年として取り扱われたことは、私の誇りとしてではなく、私のみじめな懺悔としていうことが出来る。
けれども私は本当は神を知ってはいなかったのだ。神を知り神によりすがると宣言した手前、強いて私の言行をその宣言にあてはめていたに過ぎなかったのだ。それらが如何に弱さの生み出す空想によって色濃く彩られていたかは、私が見事に人の眼をくらましていたのでも察することが出来る。
この時若し私に人の眼の前に罪を犯すだけの強さがあったなら、即ち私の顧慮の対象なる外界と私とを絶縁すべき事件が起ったら、私は偽善者から一躍して正しき意味の罪人になっていたかも知れない。私は自分の罪を真剣に叫び出したかも知れない。そしてそれが恐らくは神に聞かれたろう。然し私はそうなるには余りに弱かった。人はこの場合の私を余り強過ぎたからだといおうとするかも知れない。若しそういう人があるなら、私は明かにそれが誤謬であるのを自分の経験から断言することが出来る。