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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
しかして今や仏国の普通選挙制の獲得に成功せるを見るに及んで、各国もだんだんこれに傚うようになった。かくして今日ではこの制は世界各国に普ねく採用せられて居る。あるいは少なくともだんだん採用せられんとするの傾向に進んで居る。欧洲において比較的重き制限を今なお保有するものは洪牙利であるが、しかし洪牙利が普通選挙制を布かないのは、人種関係の上から已むを得ない点もある。洪牙利の政治的中心勢力はいわゆる洪牙利人にある。しかして洪牙利人は全人口の中においては半数に足りない。しかもなお議会において多数を占めて居るのは、制限選挙制の結果である。もし普通選挙制を布けば洪牙利人の政治的優勢は大いに動揺せられるの恐れがある。ここにおいて現在の政府党は、極力普通選挙論に反対して居るのである。それでも時勢の進運に促されて、洪牙利も近き将来においては普通選挙制にならねばならぬ勢いに迫られておったのである。洪牙利を外にしては英国と和蘭〔オランダ〕が多少の制限を付している。けれども非常に軽微なる制限にしてほとんどいうに足りない。独逸国内の諸邦の中には、今日なお制限を有するものが多いけれども、最近バーデン(一九〇四年)、ウィルテンブルグ(一九〇六年)は既に普通選挙制を採り、バイエルン、ヘッセンも大いに制限を低下した。