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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

上流社会がこの制度を喜ばないのは無理もないとして、一般社会までがこの制度を衷心から歓迎しないのは極めて不思議な現象である。もっとも普通選挙制度の採用の案は、明治四十四年第二十七議会において一度衆議院を通過した事はある。しかして当時伝うる者は曰く、衆議院では貴族院の必ずやこれを否決すべきことを確信してこれを通過したのであると。果たして貴族院は大多数を以てこれを斥けたのであった。しかれどもこの点の誤解を解いて、我々が衷心から普通選挙制の採用にあらずんば憲政の円満なる進行を見る能わざる所以を納得し、またこれを深く国民一般に徹底せしむるのでなければ、我が国憲政の前途は実に暗澹たるものである。今日選挙権を制限して居る結果として、我が国の有権者の総人口に対する割合は、僅かに百分の三に過ぎない。昨年三月の総選挙の際に現在せる有権者数は、百五十四万四千七百二十五人に過ぎなかった。これを那威の三割三分を超え、北米合衆国の二割九分を超え、仏国の二割七分強、白耳義の二割三分、伊太利及び独逸の二割二分、更に多少の制限を有する英吉利の一割八分、和蘭の一割三分なるに比すれば非常の逕庭である。