轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页
三
電灯の数を減らすといっても、チョイと指の先で突くだけで、自在に照滅するスイッチというものもあるのだ。石田家の洋館における、階段の灯入ガラスの親柱と、手摺の裏のネオン・チューブは、二階へよろけあがる奴のための、深夜の道しるべだとしか、百々子には思えない。ヘンリ清水が、心得たふうに、こういう仕掛けをしておくところから推すと、シュラー・ハークネスなる借家人は、鳥眼にかかっているか、スイッチも満足に押せないような、たいへんな大酒飲みらしい。千々子さまは有頂天になって、ただもう浮き浮きしているが、錦鯉と摺鈎の関係のようなもので、釣ったのか釣られたのかわからない、といった、ひょんな結果になるのではないかと、百々子は心配した。
三
六月の末になると、アメリカの花どもがいよいよ猖獗して、朝から、蜂がくる虻がくる。冷えのたつほど咲き重なったベチュニアの花明りのなかで、何十種ともしれぬ蝶が、酔ったようによろめきまわるという、すごく派手な庭面になった。
ジェネラル・マックアーサアという這い薔薇は、庭裏からも蔓をのばし、手をつくってやらないと、部屋のなかまで侵入してきて、すんなりと柱に巻きついたりする。