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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页

青空文庫

のネオン・チューブを這わしてある。こういう素っ頓狂な環境で、どんなことがはじまろうというのか、石田氏でなくとも、ちょっと聞いてみたいところだった。

賢夫人は、いっこうにもの怖じしない顔で、

「新築するのは、調理場だけという約束でしたから、それしかやっておりませんよ。洋館の家具をとりかえたのは、清水の自発的なサーヴィスです。どこがいけないんですか」

「ひと月かそこら滞在するだけだというのに、あんなにネオンをつけちらすことが、いるかというんだ。あそこを、キャバレにでもしようと、企んでいるのでもなければ、正気の沙汰じゃないな」

「ロングアイランドにあるシュラーの家が、ちょうど、あんなぐあいになっているのだそうで……夏の暑いあいだは、電灯の数を減らして、すこしでも涼しいように部屋のなかを薄暗くし、廊下の曲り角とか、エレヴェーターの入口とか、要所要所に、道しるべのために、小さなネオンをつけておくのだそうです……日本人は生活が浅いせいか、ネオンさえ見れば、すぐ、キャバレやナイト・クラブを連想するのは、滑稽な話ですわ」

話の筋は通っているが、納得できにくいところがある。