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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
ぢつと聞いてゐると
皿やナイフの音がしてくる
堀は本所小梅町にいるころ、私に言問のおだんごを持って来てくれ、追分にいて達者な時には冬も温かい清水に生える芹とか、春先には蕗の薹をさげて上京して私にくれた。だから堀の死後名も知らぬ人達からの贈物が、堀の家にはいつも豊富に床の間にあった。いいね、甘い物がたくさんあっていいねと私はそれを褒めるが如く言ったが、このごろではその贈物も絶え、ようやく古手紙の整理をするほど、たえ子は暇ができていた。私は笑いながら言った。おいしいお菓子があいかわらず山積してお困りだろうにというと、もう郵便もお菓子も来ないわよ、雑誌なぞ皆買って読んでいるわ、一冊も来るもんじゃないと彼女は言った。そうとも、雑誌はあなたに読んで貰うために贈られているんじゃないし、人間の死というものも恐るべきことは、つねにあたらしい死がいたましく思われるからである。古い死は古いために奥へ奥へと片づけられて行くのだと私は言い、しかも自分の言葉にリツ然としたくらいであった。
「時どき現われて来ては突っつき返すわね、じっとしていると表から呼び出すように仰有るわね。