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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页

青空文庫

て、居睡りをつづけていた。部屋では仕事をしながら私はそれを見て、或るしめくくりに達しるまで原稿を書いていた。三十分も書きつづけて庭に眼をやると、立原は長い脚をそろえて、きちんと腰をおろしてやはり眼をつむっていた。いつ来ても睡い男だ、そよかぜが頬を撫で、昏々と彼はからだぐるみ、そよかぜに委せているふうであった。

仕事が終ると私は庭に下りて行くが、立原は気づかずに未だ居睡りをしていることもあり、すぐ、ぽかりと眼をひらくこともあった。居睡りが続いていると私は近くに寄って行き、突然、わあ、と言って脅かすことがあった。当時、私は年下の友達が来ると、油断を見すましてこの、わあ、という懸声をあげるくせがあった。立原もこの癖をうまく利用して、泊った折々の晩なぞ、散歩のかえり道などで、暗い処にかかると、わあと言って突然飛びかかる真似をして見せた。だから、お互にこのわあという懸声をする瞬間をさがしている、瞬間のつづきのある日もある程だった。

立原は五尺八寸もあったが、色が白くクリクリした小気味の好い顔立の美青年型で、黒の服の前の釦が六つついていて、それが彼の発明装服の飾りでじまんの釦だった。