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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页

青空文庫

」

津村は真剣な顔付でいった。

「手を出されたときは参った……」

「僕も参ったよ、あれが生きている人の手だからね。」

二人は外に話もなく何となく苦が笑いをした。この苦笑をしている津村信夫も、それから何年かの後に死ななければならない人だった。つぎつぎに生きている人が生きたままで人を見送り、死ぬ人は死ぬときを決して知ることの出来ない面白い生き方を、今日は厭でも、していなければならなかった。

序の歌

しづかな歌よ ゆるやかに

おまへは どこから 来て

どこへ 私を過ぎて

消えて 行く?

夕映が一日を終らせよう

と するときに――

星が 力なく 空にみち

かすかに囁きはじめるときに

そして 高まつて むせび泣く

絃のやうに おまへ 優しい歌よ

私のうちの どこに 住む?

それをどうして おまへのうちに

私は かへさう 夜ふかく

明るい闇の みちるときに?

また落葉林で

いつの間に もう秋! 昨日は

夏だつた……おだやかな陽気な

陽ざしが 林のなかに ざわめいてゐる

ひとところ 草の葉のゆれるあたりに

おまへが私のところからかへつて行つたときに

あのあたりには うすい紫の花が咲いてゐた

そしていま おまへは 告げてよこす