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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
みづとりのそよふくかぜにおどろき、
ほと、しづみぬるみづのそこ、
そらのくもこそゆらめける。
あはれ、いりひのかがやかに
みづとりは
かく、うきつしづみつ
こころのごときぬまなれば
さみしきはなもにほふなれ。
やまのうへにふるきぬまあり
そのみづのまぼろし、
ただ、ひとつなるみづとり。
風景
純銀もざいく
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな (後略)
この「風景」は三章二十七行に亙る詩であるが、各章行末にある一行だけが違っている外は、いちめんのなのはなという同じ行列であって、これを初めて読んだ時は遊び過ぎているようで、素直に読んで味わう気がなかった。原稿紙のうえのいたずらがそうさせたのだろうと思っていたが、暮鳥逝いて三十五年後の私の今日の机のうえでは、その菜の花の危険を冒した表現は、いまは美しく野の花が盛りこぼれていて、牧師をしていたことのある山村暮鳥が、この一面菜の花の中を歩いているような気が、するのである。隙間を狙って亡きものにしようとした田舎出の私は、やっと赤鰯の腰の物は他人に呉れて遣り、いっぱし一人前のぴかぴかした刀を差して後ろに坐っているが、人を斬るどころか、人に斬られてもくそくらえという