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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
褒めることでは無条件であるため、人から気をつけなさい、そんなに有頂天になって褒めると、褒められた方が極り悪く困って了うじゃないか、と、言われることがあった。美人を美人と極めをつけることに何の顧慮がいるものか、美人に難くせをつけるなら、初めから美人だといわない方がよい、千家の詩に口をきわめて褒めるのは、千家の詩の急所がそうさせるのである。読者よ、こういうよい詩をいまから二十年ももっと以前に、あまり沢山の人の眼にもふれずに印刷のままで、紙の間にぴかぴか光っていることを想うと、誰かがそれを後年に眼を瞠って読み、人に、沢山の金を貰ったように讃めるのも、美しい千家の贈物ではないか。
蛇
蛇が死んでゐる
むごたらしく殺されて
道端に捨てられてゐる
死体の傍には
石ころや棒切れなぞの兇器がちらかつてゐる
王冠を戴いた神秘的な頭は砕かれ
華奢で高貴な青白い首には繩が結へてある
美しく生々した蛇は今はもう灰色に変つてゐる
さながら呪はれた悲劇の人物のやうに
地上に葬られもしないで棄てられてゐる
哀れないたづらだ
この詩に対する千家自身のあわれみは、一つのみにくい動物の死に対するそれではなく、この詩人の周囲にむかう予言のように耳をつんざいている。