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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
」
「あなたは別だわ。みんなあなたのような方ばかりだと、いいけれど……」
藤村は機嫌好く笑い、静子夫人の顔はやや疲れて柔らかい。夜はあたたかく時を刻んだ。
私は家の茶の間で、その夜も充分に飲んで来たのに、さらに今夜をしきるために、あぐらを掻いてこの夜のお終いの酒を飲んでいた。藤村の奥さんが代って見えていたが、見つめると、見つめ返してくる感じがあって、まだ若さがあるな、ああいう奥さんを老年にもつということは、まあ幸福とでもいえば言えるね、そうね、あれで十六、七くらい年が違っているが、十六、七くらい年は違ってもいいね、自分の年の半分に割ったあとの半分の年の違いでもいいな、藤村という人は小説でみんな私行を白状している正直な人なんだよ、世間では何だ彼だというが、あの人は他人の言えないこともどんどん言っている正直者なんだよ、だってあの静子夫人だってあんな年がちがっていても、宴会には代理で出しているじゃないか、悪こすい人なら若い奥さんなぞ決して宴会には出さないものだよ、あの奥さんが男の中に一人坐っていると、そこらが彼女の血色のほとぼりで火照っているくらいだよ……