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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页

青空文庫

ます。もっと、快くなってから入らしってくださいと言うのである。それも尤ものことであるが、そんなに僕のことで気を揉むのか知らと、つい追分行きがのびのびになり二年三年と経って了ったのである。

大抵一ヵ月に二度くらい軽井沢に姿を現わすたえ子が、急にふっつりと来なくなると、これは堀の容態が悪くなっているのじゃないか、この前来たのは何時頃だったかと家じゅうで言い、息子が自転車で追分の様子を見に出かけるのである。そんな場合、堀は喀血の後でたえ子は手が離されなかったのだ、そこで息子と娘がたえ子に代って買物をして歩くことになっていた。――※(終わり二重山括弧、1-1-53)堀自身でも二、三年会わないでいるのに、いまさら私が出かけるのが気づまりが感じられるのではなかったか、どうやら釈迢空に会わなかった気持に、類似しているものがあった。一刻も静臥していてどんなに親しい人にも、いくらかの窮屈がある場合、堀らしく内気に引きこんでいたかった。他人にあえば乱れるし、たえ子ですら、次の間に控えていたからである。彼女はだから堀が寝返りを打つとか、咳のあんばいとか、少しばかりふとんの動く音も、聞き逃がすことがなかった。