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せんごしんじんろん

戦後新人論

坂口 安吾

「文藝春秋 第二七巻第一一号」1949(昭和24)年11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,363 字 · 15 页

青空文庫

。芸術本来の姿は常にそのようなものである。生活の中から生れてくるのである。それが時代的に生長せず、一つの型として、取り残されたところに、歪みと不健康さがあるものだ。

今日の歌笑が落語界で人気者なのは当然だ。現代人の生活の中に生きているからだ。江戸時代に於ける落語はそうであった。あらゆる芸術がそうであった。その時代に生きていたのである。

一昔前は、金語楼が落語界の新人であったが、彼の泥臭さに比べれば、歌笑は洗錬されてもいるし、より時代感覚に密着している。サトウ・ハチローと歌笑の座談会で、ハチロー氏が海中でクソに追っかけられる話をしている。海中で脱糞したところが、クビの横へポッカリ浮いてきた。泳いでも追っかけてくる。もぐって首を出しても、はなれない。この話に、歌笑の曰く、それは先生海だからですよ。川だと素直に流れます。まことに素直な歌笑である。万事このように目がとゞいて、クスグリや悪ジャレを相手にしない魂が確立すれば、彼の前途は洋々たるものであろう。

私は然し、終戦後に劃期的な新風をもたらした天才児は、横山泰三だろうと思う。これはたしかに、過去に存在しなかったものだ。