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とびら
扉
小川 未明
「早稲田文學」1910(明治43)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,143 字 · 17 页
」
「なに? 君の言う意味が分らぬ。」
「分らぬ筈がない。兎に角、もう一度今日僕の催眠術にかかってもらいたい。」
Kは調子を柔げて、Bに頼むように言った。
「厭だ。飽くまで反抗して見せる。」
Bは勇気を出して、起ち上るとベンチに腰をかけた。
「じゃ仕方がない。僕は僕の力を信ずる。君の許しがなくとも自由に君をかけて見せる。」と、KはBの前に立った。
「待ちたまえ。」といってBはベンチから刎ね返った。
Kは逃がさないように慌てて出口の扉を塞いだ。
「僕は決して逃げやしない。ただ君に聞くことがある。」
とBはいった。Kは大股に歩いてBの前に立塞がった。
「もう逃がしやしない。」
「昨日はどんなことを話しましたか。」……
「それを聞いて君は何とするのだ。」
と、Kは笑っていた顔を顰めた。
「ただ聞いて見たい。」
「君は秘密をみんな語った。」
「君はその秘密を聞いて何をするんです。」
「それは君に言われない。」
「どんなことを話しましたか。」
「君は生れた故郷を言った。次に親の名前から、自分が学んだ学校を語った……。」
「それから……。」
「学校にあった頃の話をした。」
「それから……。」
「初恋の女とその関係まで語った。