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ぶんげいはしんかするか、そのた
文芸は進化するか、その他
平林 初之輔
「新潮 第二七年第六号」1930(昭和5)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,597 字 · 13 页
私たちは、その中で、探偵小説にのみ特有のテクニックが正確に指摘され、しかもそのテクニックは、他の小説には通用できないもので、他の小説に適用すると、かえってその作品の芸術性を損なうようなものであることを見るのである。
その中で最も風変わりなものを拾ってみると、こんなことを言う。
「恋愛的興味をもち出してはならぬ。我々の仕事は犯人を正義の法廷へ運ぶのであって、失恋の男女を結婚の聖壇へ送り込むのではない」
「犯人をきめるのは論理的帰納法によらねばならぬ。偶然とか単純な一致とか何の動機もない自白などで決めてはならぬ。そんな手で犯罪を解決しようとするのは、ちょうど読者をわざわざ鉄砲も持たせずに猟にやって、あとで実はここにかくしてあったのだというようなものだ」
「犯罪はしからず自然主義的な方法で解かれなければならない。石盤書記、神秘台、読心術、交霊術、結晶凝視等々の降神会式魔術で真実を知ろうとするようなことはタブーだ。読者のチャンスは自己の機知を合理的な探偵と競うところにある。しかるに、もしも心霊界を相手にするとか、形而上学四次元の世界をかけまわらなければならないとすると、読者はもう最初から負けていることになるのである」