轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

10 第十分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页

青空文庫

犬山・陥つ

岩に鳴る水や瀬にしぶく水の響きはするが、ふかい水蒸気につつまれて、月も山も水も雲母の中のもののようだ。ただ幾つかの濡れた灯が、対岸の高きあたりに、また、低い所に、にじんで望まれるだけである。

「みな、馬を捨て、馬を一所につながせておけよ」

勝入自身も、馬を降りて、川を前に、床几へかかった。

旗本三、四十騎は、すぐ主人に倣って、徒士となり、また、後から後からここへ駈けつづいて来た者も、野へ馬をあずけて、みな軽身で川の水際に立った。

「オオ、時刻たがえず、紀伊守さまの御手勢が、あれへ――」

と、その中の人々が指さした。

勝入は、のび上がって、上流の河原のほうへ眸をこらしながら、

「物見、物見」

と、早口にいった。

すぐ走り戻って来た小物見の一名が、相違ありませぬ、と報告してから程なく、総人数四、五百の一手が、池田勝入の引率する約六百と合して、およそ千余の人影が、魚紋のように乱れうごいていた。

青鷺の三蔵は、ようやくここで人数に追いついた。背後の目として見張っていた哨兵は、三蔵を槍囲みにしたまま、池田勝入の床几の前へつれて来た。

勝入は、三蔵に何のムダ口も開かせず、要点を訊きとるとすぐ眼ざわりな者でも追うように、去れ、と頤を振った。