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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本の怪談(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟹の怪、花の咲く比、不動像の行方、蛇怨、鮭の祟、妖怪記、鍛冶の母、鷲、尼になった老婆、幻術、忘恩、蠅供養、這って来る紐、放生津物語、地獄の使、法衣、餅を喫う、立山の亡者宿、山の怪、山姑の怪。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,664 字 · 171 页
二人はちょっと顔を見合して何か云いあいながら腰をかけたが、今度は金次と云う三十男が云った。
「小父さん、仕事はどうぜよ」
「仕事か、飯が喫えんから、あるならするが、この年になっちゃ下廻りの仕事しかできん」
「俺の家にも、納屋を建てたいと云うて、せんから云いよるが」
「銭が出来たら建てるもよかろ、大工なら、善八でも喜六でも、腕節の達者な大工が何人でもある」
「小父さんはできんかよ」
「できんことはあるまいが、年が年じゃ、何時死ぬるやら判らん、受けあいはできんよ」
為作の詞は何処までもぶっきらぼうであいそがない。金次は笑うより他にしかたがなかった。
「姐さんは、まだ戻らんかよ、源吉が独りのようじゃが」
秀がそれとなしに云った。
「戻りとうても戻れんじゃろう、遊びに往ちょるじゃないから」
「そうじゃ、のうし」
秀も後へ続ける詞がなかった。二人は手持ぶさたになったので帰って往った。為作は舌打ちした。
「野良犬どもの対手に、飼っている嫁じゃないぞ、何をうろうろしに来る」
源吉は腹這いになっていた。
「もうお母も戻って来る、もうすこし起きておるがええ」
為作は飯にしていた。と、女の叫び声が聞えて来た。