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にほんのび
日本の美
中井 正一
中井正一『日本の美』。同一底本的分册已合并为一书。收入:日本の美、近代美の研究。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,126 字 · 187 页
かの雪舟が「筆かるに馬遠夏珪などの筆の跡をもととして、御学び候が第一の稽古に候」といい、光起が「気運とは(気を運ぶということは)まづ描かんと思ふとき、気を身体に充満し、天地に至る心として(天地いっぱいにひろがるようなこころもちになって、そして)何心なく書出すをいふ」といっております。「夫画の要は(一番大切なことは)、軽の一字に止まるのみ」(軽みといふことにせんじつまるのである)「たとへば、真の極彩色をも軽の字を忘るべからず」、つまり、あの極彩色の赤青けんらんたる絵でも、この軽みの一字を忘れてはいけないと光起はいっているのであります。
例えば『源氏物語』の絵巻物の絵をごらんになりましても、そこには、ある軽みがただよっています。白描、彫り画、薄かけの大和絵のすべてに、軽の一字、自由な速度ある、変化ある、滞ることなき清新の運びのこころがけが、常にみなぎっておるのであります。
狩野章信も、「行、真と修業つみ、種々工夫付執し得たる上は、又始めの草のかるきにもどる。画の要は筆画に止る。神妙二品は軽の一字たり」といっていますが、このいったん、行真とつまり本格的な重いものに力を込めた後に、再び軽い草の世界に帰りくることが、日本の芸術では、常に語られるところであります。