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あねがわのかっせん

日本合戦譚

菊池 寛

菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页

青空文庫

見ると、そこの陣屋の門が、ぴったり閉めてあって入りようがない。廻って東門を覗ったが、同様である。内には、六文銭の旗三四旒、朝風に吹靡いて整々としていた。

「さては、此処がかの真田が固めの場所か。迂濶に手を出す可らず」その上、越前勢も、大和川の失敗で、中々到着するけしきもないので石川等は、東の河岸に控えて様子を覗っていた。

夜がほのぼのと明け始めた。そこで東の門を覗ってみると、内は森閑として、人の気配もなかった。何のことだ、と言い合いつつ、東の門を開いて味方を通そうとしている所へ、越前勢の先手がやっとのことで押し寄せて来た。

大和川に流された吉田修理亮に代って、本多飛騨守、松平壱岐守等以下の二千余騎である。

が、石川宮木等は、これを真田勢の来襲と思い違い、凄まじい同志討がここに始まった。

石川宮木等が葵の紋に気付いた時は、既に手の下しようのない烈しい戦いになっていた。ようやくのことで、彼等が、胄を取り、大地にひざまずいたので、越前勢も鎮まった。

しかし、こんな不始末が大御所に知れてはどんなことになるかも知れない、とあって、彼等は、その場を繕うために、雑兵の首十三ほどを切取り、そこにあった真田の旗を証拠として附けて、家康に差出した。