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にほんばしふきん
日本橋附近
田山 花袋
「東京日日新聞」1927(昭和2)年4月19日〜5月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,383 字 · 37 页
流るゝよ、あゝ瓜の皮
核子、塵わら――さかみづき
いきふき蒸すか、靄はまた
をりをりあをき香をくゆし
滅えなづみつゝ朽ちゆきぬ。
水際ほそりつらなみで
泥ばみたてる橋はしら
さては、なよべるたはれ女の
ひと目はゞかる足どりに
きしきし嘆く橋の板。
それを、その橋をあの江戸名所図会にある橋と比べ、また明治の初年食物店や興行物でその袂が埋められた頃の橋と比べ、更に今の電車や自動車の駛走している橋と比べ、更に遠く家康が入国してここを埋め立ててはじめて架橋した時のさまに比べて考えて見る。恐らく誰でも不思議な心持に誘われずにはいられないに相違なかった。否、その有明の詩の時分からでも、あたりのさまが夥しい変遷をした。新しい潮流が何べんとなくやって来ては、あたりの店の外観をかえショウウインドーの飾りつけをかえ、そこらにわずかに残喘を保つようにして巴渦を巻いている昔の街のさまをかえた。しかも過渡期は依然として過渡期だった。いくら綿密な計画のもとに運ばれた努力でも、容易にその外観の統一を求めることは出来なかった。否、そうしている中にあらゆるものを破壊したあの恐ろしい震災がやって来た。