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めいあんよめもんどう
明暗嫁問答
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館 、1946(昭和21)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,984 字 · 43 页
薄茶
めに遭わされるぞ」
戦いは攻めるに如かずという、老人はこっちから敵の本拠へ乗り込む計略に出た。……そして或る風の涼しい日の夕方、前触れなしに勘太夫は茶室を訪れ、茶を所望した。
薄茶
「よい新茶がはいりましたので、お恥かしゅうございますが、おはこびを願いに出ましょうと存じておりました」そう云って、いかにも嬉しげにお笛は煎茶のしたくをした、「なにもお菓子がございませんで申しわけございません、お口よごしでございます」
香り高い新茶に添えて、鉢に香物を盛ったのを出した。勘太夫は部屋の中をじろじろ眺めまわしていた、塵もとめぬゆき届いた掃除である、床間には古風な錆着きの鉄鉢にそなれの一枝が活けてあった、なかなかこころ憎い好みである、勘太夫はふんと鼻をならし、やおら茶碗を手に取ったが、そのときはじめて鉢の香物に眼をとめた、老人はしめたという顔をした、
「これは香物だな」
「はい」
「町人や農家は知らぬが、武家では茶うけに香物などということはないぞ、他人に見られたら高滝の恥じになる、それほどのことがわからんでどうするか」
「心づかぬことを致しました、以後は気をつけまする、どうぞご免下さいます