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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

岡本綺堂『明治劇談 ランプの下にて』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治劇談 ランプの下にて、明治演劇年表。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 页

青空文庫

右者亡父遺言状仮葬之翌日相開き一覧致候処本葬云々之儀有之候に付遺言を守り相営み不申候然るに昨日仮葬之節追て日限御知せ可申上御約束之処前件の次第故不悪御承引可被下候右御報道併せて御礼奉申上候也

本所区南二葉町三十一番地

相続者  吉村いと

平生から派手なことを好まぬと聞いている翁の遺言としては、さもありそうな事だとわたしも思った。翁の晩年について、わたしは「明治以後の黙阿弥翁」と題して書いたことがあるから、今ここで重ねて言うまい。翁が逝いてから四十年の間に、劇界の形勢も著るしく変化した。しかも翁の作物は依然として歌舞伎の舞台を力強く踏まえている。わが歌舞伎の世界からいわゆる竹本劇と翁の作物とを取除いたならば、その内容は殆んど空虚になってしまうかも知れない。勿論、その勢力が今後いくばくの年を保つものか私にも予想することは出来ないが、死後四十余年だけにしてもこれほどの勢力を維持しているのは、わが国の劇作家として稀有の例と言っていい。わたしも無条件で翁の前にひざまずくものではないが、さりとて形を正しくして翁の姿を仰ぎ視ないわけには行かない。

鳥越座をほろぼした火の神は、さらに下谷二長町の市村座を焼いた。