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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

岡本綺堂『明治劇談 ランプの下にて』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治劇談 ランプの下にて、明治演劇年表。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 页

青空文庫

千歳座見物

案内状には必ず堀越秀という本名を記し、最初の二、三回は本人の直筆であったが、その後は狂言作者の竹柴瓢三の代筆になったということである。

千歳座見物

わたしは明治時代の演劇史を書いているのでなく、単に一種の物語を述べているに過ぎないのであるから、自分の見ないことや聞かないことや、自分に全然無関係のことは書かないことにしている。したがって、話は一足飛びに飛び越してしまうことがあるかも知れない。それは重ねて断わって置く。

団十郎のことは前に書いたが、わたしが五代目菊五郎という人を舞台以外で初めて見たのは、明治十八年の一月、久松座が改築して千歳座と改称した舞台開きの時であった。狂言は一番目が「碁盤忠信」、二番目が「筆売幸兵衛」で、一番目には団十郎の「静の法楽舞」と「山伏摂待」という余り面白くないものが付いていた。この芝居見物については、わたしにいろいろの思い出がある。

まず第一に、そのころ十四歳のわたしは千歳座のありかを知らなかった。日は忘れてしまったが、なにかの都合で父はひと足先へ出て行って、わたしはあとから行くことになった。麹町から久松町まで人力車にも乗らないで歩いて行ったが、さてその新築の劇場のありかが判らないので、わたしはまごついた。