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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

岡本綺堂『明治劇談 ランプの下にて』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治劇談 ランプの下にて、明治演劇年表。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 页

青空文庫

の重盛に至って、いよいよその熱を高めたと伝えられているが、彼が求古会員を顧問として徹底的の活歴劇上演をこころみたのは、まさにこの「二代源氏」の仲光であったと言ってよい。それが新富座の舞台の上に持ち出されたのは、翌十七年の四月の末であった。今日から観れば、その脚本の内容にも、舞台装置にも、衣裳小道具のたぐいにも、なんら新奇の点を見出だし得ないようであるが、その当時においては殆んど前代未聞の椿事であるかのように、好劇家の眼をおどろかしたのであった。

仲光の脚本がどんなものであるか、今あらためて説明するまでもあるまい。『前太平記』を殆んどそのままに脚色したもので、やはり従来のチョボの浄瑠璃を用い、合方や鳴物を用い、台詞も主に七五調を用い、その形式は従来のものと変わらないのであるが、いわゆる活歴の趣意によって、その脚色は努めて史実を離れないのを専一とし、衣裳道具のたぐいも努めてその時代の風俗に則ることにしたので、ともかくもその外形だけは著るしく変わったものになって、在来の芝居を見馴れていた観客は確かにおどろかされた。それに対する毀誉褒貶はまちまちで、在来の芝居を一途に荒唐無稽と罵っていたその当時のいわゆる知識階級と一部の半可通とは、今後の演劇は当然こうならなければならないもののように賞讃した。