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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

そのおひるすぎのことです。床の上で雑誌を読んでいると、障子の外からお母さんの声がしました。

「一太郎や、高橋さんがね、お前をおみまいに来て下すったのですよ」

そして、障子がすーとひらいて、そこへ大学の制服を着た高橋さんの、にこにこ顔があらわれました。

「やあ、一太郎君、風をひいたんだってね。でも、もうすっかり元気らしいじゃないか」

高橋さんはそういいながら、そばにすわりこみました。

「うん、もういいんです。僕、起きたくってしようがないんだけど」

「お医者さんと、お母さんが、いけないっておっしゃるんだろう。ははは……、まあ、今日一日だけがまんするんだね」

高橋さんと一太郎君は、年はずいぶんちがっていましたけれど、まるでお友だちのように仲よしです。

一太郎君は一人でたいくつしていたので、高橋さんの顔を見ると、急におしゃべりになって、いろいろなことを話しましたが、やがて、高橋さんに、いつものおねだりをはじめるのでした。

「ねえ、高橋さん。何か問題を出してくれない」

「ほーら、はじまった。君は病気で休んでいても科学少年なんだね。よし、それじゃ一つむずかしい問題を出すよ」