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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

高橋さんはそういって、しばらく考えていましたが、何かいいことを思いついたようすで、にこにこしながらはじめました。

「君は、さきおとといの晩、お湯にはいったあとで、北村君のところへ、模型飛行機の設計の相談に行ったんだってね。その時、道で寒い風にふかれたのがもとで、風をひいたんだってね」

「うん、そう。あの晩は、とても風がひどかったもんだから」

「さあ、それが今日の問題だよ。風にふかれると、なぜ寒いんだろうね。わかるかい」

「え、風にふかれるとなぜ寒いかって」

一太郎君は、あっけにとられたような顔をして、高橋さんを見つめました、何かむずかしい問題が出るかと思ったら、あんまりやさしいのでびっくりしたのです。

「空気が早く動くと風になるんでしょう。そして、寒い方の空気がこちらへおくられて来るから、風が寒いのでしょう」

そう答えて、一太郎君は心の中で、なあんだ、こんな問題ちっともおもしろくないじゃないかと考えるのでした。

「ようし、それじゃ一つ、おもしろい実験をやってみよう」

高橋さんはそういって、一太郎君の机の上から一枚の紙を取ると、くるくると丸めて、巻たばこより少し細いくらいの、長いくだを作りました。