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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

ゴムマリとミシン針

よくおぼえておきたまえ。そうすればすぐ表へ出ても、めったに風を引くようなことはないんだからね。もっとも、体が弱いと風をひきやすいから、まず体を丈夫にすることだ」

それからしばらくして、高橋さんは帰って行きましたが、一太郎君は、「やっぱり高橋さんはえらいや、だから、僕、高橋さんが大好きさ」と、つぶやきながら、にこにこと、ひとり笑いをするのでした。

ゴムマリとミシン針

春のはじめの、ある日曜日のおひるすぎのことでした。

一太郎君のお母さんは、八畳のお部屋の縁側に近い明るい所へ、モーターつきの、ミシン台を持ち出して、一太郎君のシャツをぬっておられました。足ぶみのミシンではありませんから、坐っていてお仕事が出来るのです。

一太郎君は日当りのよい縁側に足をなげ出して、お母さんとお話をしていました。

縁側の前は広いお庭で、沢山の立木の向こうに板塀が見えています。その塀のむこうの空地で、近所の子供たちが、マリ投げをして遊んでいる声がきこえていました。みんな一太郎君のお友達です。

突然、子供たちの「アッ」という声がきこえたかと思うと、お庭の木の葉が、ガサガサと鳴って、どうやらゴムマリがお庭の中へおちたらしい様子です。