轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

つきのまつやま

月の松山

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1954(昭和29)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,451 字 · 41 页

青空文庫

「そうではない、もっと云うことがあるでしょう」泰二郎は挑みかかった、「貴方が云いたいのはそのことではない、ほかに云いたいことがある筈だ、それを云ったらどうですか」

「でかけるときは灯を消してくれ」と孝也が云った、「私が云いたいのはそれだけだ」

孝也は歩きだした。泰二郎は前へ立塞がった、彼は自分が抑えられなかった。

「待って下さい、云うことがあるんだ」

「その話はよそう」

「いや私は云う、貴方も聞きたい筈だ」

「おれは聞きたくない、どいてくれ」

「どうしてもですか」

「まっぴらだ」

泰二郎はかっとなった。「宗城さん」と云って思わず相手の腕を掴んだ。孝也は振放そうとした。泰二郎はその腕をぐいと引いた。すると孝也は「あっ」と苦痛の叫びをあげ、まったく力を失って横さまに倒れた。泰二郎はぎょっとし、いっぺんに昂奮からさめた。孝也の叫びにはするどい苦痛の響きがあったし、その腕から感じた躯には力の抵抗がなかった。少しの抵抗もなしに孝也は倒れ、そうして、右足をすばやく縮めたまま、地面の上に手をついていた。泰二郎は水を浴びたように昂奮からさめ、手を貸して立たせようとした。

「勘弁して下さい」