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まつのみさおびじんのいきうめ
松の操美人の生埋
三遊亭 円朝
02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,963 字 · 176 页
供養塔が有ります、大先達喜樂院の建てました物で、風が強く吹く折には倒れそうな見上げる様な石塔でございまして、此処は一里四方平原で人家もなければ樹木もない処でございます。見下すとずうっと上総房州も一ト眼に見える。尤も四月十五日で青空は一点の雲もなく、月は皎々と冴渡り、月の光が波に映る景色というものは実に凄いもので、幽に猿島烏帽子島金沢なども見えまする。此方は小松の並木で一本も外の樹はありません。真堀の岩上の方から粥河圖書は来るに相違ないと、山三郎は馬を乗り据え、向に眼を注けて居ると、遥かに蹄の音がいたします。来たなと思うと粥河は其方へ現われ出ました。元来圖書は山三郎を嚇す気だから、栗毛の馬に鞍を置き、脊割羽織に紺緞子に天鵞絨の深縁を取った野袴に、旧金森の殿様から拝領の備前盛景に国俊の短刀を指添にしてとっ/\と駈けて来る。山三郎は石塔の際へ馬を止めて居る。圖書は山三郎はまだ来らんと心得てぱっ/\と土煙を立って参りますと、傍から声を掛けまして、
山「粥河氏かお早うござる」
と云うと、圖書ははっと驚きましたが、例の曲者落着き済して、
圖「大分お早いな」