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まつのみさおびじんのいきうめ

松の操美人の生埋

三遊亭 円朝

02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,963 字 · 176 页

青空文庫

三十六

アへえ」

半治「うるせえや、書附せえ遣りゃア、兄弟じゃア無え、さア行くのだ」

とずうと立って行きますから、

小兼「半治さん、お前それじゃア」

と小兼は跣足で駈出しながら、半治さアん/\/\待ってお呉れようー。と山坂を駈下りて追懸けます。これから小兼が半治に追附いて一つのお話に相成りますが、一寸一と息つきまして又申し上げます。

三十六

引続きまして追々お話も末に相成りました。申し掛けました江戸屋の半治は兄に愛想づかしをいい掛けまして、無理に兄弟の縁を切って西浦賀の江戸屋を立出でますと、小兼が跣足で谷通坂まで追懸けて参った処までお聞に入れましたが、茲に真堀の定蓮寺と申す前申し上げた、お蘭を生埋に致した寺がございまして、此処の留守居坊主は元と雁田の地蔵堂に居りました破戒僧でございますが、只今此の寺が焼けて留守居の無いので、頼まれて此の寺に居って、尤もらしい顔色をして居りますが、夜に入りますと山寺で人が来ませんから、箱膳の引出から鰺の塩焼や鰹の刺身が皿に載って其処へ出掛けて、その傍の所に軍鶏の切身があって、小鍋立で手酌でくびり/\と酒を呑んで居ります。