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まつのみさおびじんのいきうめ

松の操美人の生埋

三遊亭 円朝

02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,963 字 · 176 页

青空文庫

亭「かしこまりました」

と山三郎の云うことだから大丈夫だと、亭主も急がせまして、前艫が二人、脇艫が二人、船頭一人都合五人飛乗りまして、板子の下に四布布団を敷いておらんを入れ、

山「窮屈でも少しの間の我慢で…陸へ着けば何でも有りますから…おい早くしな」

と是から舟を漕出しまして番所の前へ出ますと、其の頃番所の見張は正しいが、会所へ日々出まして役人衆とは心易いから山三郎は一人出まして、

山「山三郎私用あって上総の天神山まで参ります」

と云うと板子の下に別嬪がおります事は存じませんから、役人衆も宜しいと許します。それからこう行くと丁度朔風と申して四月時分も北風が吹く事がありまして、舟は益々早く、忽ち只今なれば四時間ばかりで天神山の松屋と云う馴染の所へ参りました。

松「これは旦那、さア此方へ」

山三郎は離れた所が宜いと云うので奥の離れ座敷の二階へ連れて参りましたが、お蘭は心配のせいかきや/\癪が起って来る様子、薬を取寄せなまじい医者を聘んで顔を見られてはならんと、眼の悪い針医を呼んで種々介抱致して、徐々お蘭に聞いたが、何うあっても訳を申しません、操が立ちませんからどうぞ私を殺して自害をさして下さいと云うのみ。