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ふくろうのめ

梟の眼

大倉 燁子

「キング 一三巻三号」1937(昭和12)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,354 字 · 23 页

青空文庫

「皆さん、お立派で――、私きまりが悪いから、――はやく、このネックレースをとってしまって頂戴よ」

春樹は苦笑して、

「馬鹿だなあ。だから、止せッて云ったんだ」

と云いながら、ルビーと真珠を鏤めたネックレースの環を外してやった。

陽子は春樹の先に立って、その列の前を通りながら、一人々々挨拶をした。中ほどのところまで来て、何気なく次ぎの女の顔を見た。彼女は驚いて足が竦んでしまった。それは昨日会った薄墨色の女ではないか、しかも、その左の指に煌々と輝いているダイヤ――、それは慥かに見覚えのあるものであった。スリがどうして主催者側の一人として立っているのだろう? 余りの不思議さに暫時棒立ちになっていると、先方から陽子の手を握って嬉しそうに微笑み、「昨日は失礼、――今晩はよくいらっしゃいました」と愛想よく云って、隣の夫人へ、梅田子爵夫人であると紹介した。春樹は妹の後にいたので、名も知らない薄墨色の女に握手もし、自己紹介もした。

列を通り越してホールの中に入ると、陽子は周囲を見廻しながら、兄の耳に口を寄せた。

「大変ですよ。お兄さん。あの薄墨色の女はスリです」

「えッ、だって、主催者のリスイーヴング・ラインに立っていたじゃないか。