轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 页

青空文庫

玄四郎にはあまりに思いがけない話しで、われ知らず自分の立場をも、うちあけたくなった。

――だが待て、慌てるな。

と彼は危うく自分を制止した。

――なんのためにこんなことまで話すのか、その理由を聞いてからにしよう。

こう思って、彼はその続きを待った。

そのときおみやは、話しをやめて、そっと玄四郎を見あげ、すぐにまた俯向いて、これで自分の過去は残らず話した、と云った。

「この春、向島でおめにかかったときのことを思いますと、自分で自分をずたずたにしたいほど、恥ずかしゅうございます」おみやは手で顔を掩った、「あのときから、わたくし自分のして来たことが恥ずかしくなり、これではいけない、できることならまじめな、女らしい女に生れ変りたい、と思うようになりましたの」

「しかし、兄という人がいるのでしょう」

「兄にもそのことを話しました、もうわたくしを当てにしてくれるなと、はっきり断わりを云いましたの」

「それで、――」と玄四郎はおみやを見た、「柿崎どのは承知されましたか」

おみやはかぶりを振った、「承知いたしませんし、いやなら邸からさげてしまう、また元のように身を売らせる、と申して威してまいります」