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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

02 第二部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页

青空文庫

「そうか。しかし、今日そんな時間があるのかい。」

「ええ、朝のうちにお伺いすれば、夕方の汽車には間にあいますから。」

「すいぶん忙しいね。」

「もしか間にあわないようでしたら、迷惑でも、こちらにもう一晩泊めていただくつもりで……」

「そりゃあ、ここに泊るぶんには、幾晩でもいいさ、お前の都合さえつけば。……じゃあ行ってくるかな。」

「はい、是非そうさしていただきます。……それで、あのう、坊ちゃんをおつれ申したいのですけれど。」

「なあんだ、そうか。ゆうべのうちにちゃんと次郎と約束が出来ていたんだね。はっはっはっ。」

「いいえ、決してそんなわけではございません。あたし、大巻さんへは、はじめてですし、だしぬけに一人でもどうかと思いますものですから……」

お浜はまじめだった。俊亮はやはり笑いながら、

「そりゃあ、次郎をつれて行くのに相談はいらんよ。行くなら、やはりあれをつれる方がいいね。しかし……」

と、俊亮は急にまじめな顔になって考えていたが、

「お芳も、大巻にはしばらく行かないようだが、あれもいっしょだと、なおいいね。」

「そうお願い出来れば何よりですけれど、急に、ご無理じゃございませんかしら。