轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
05 第五部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页
悲観するというのは、そんな偉い人たちと、ぼくとの間に距離がありすぎるからばかりではありません。そういう事とは別に、ぼくにはぼくの考えがあるからなんです。生意気なことを言うようですが、孔子やソクラテスは凡俗の上に立って凡俗を教えた人たちではありましたが、凡俗といっしょに暮らした人たちではなかったと思います。その意味で、ぼくの今の気持ちには、何かぴったりしないところがあるんです。ぼくは、今のところ、教える人になりたいとは、ちっとも考えていません。自分も凡俗の一人として、凡俗といっしょに暮らしてみたい。おたがいに凡俗のまごころをつくして暮らしてみたい。ただそう思うだけなんです。これは、あるいはまちがっているかもしれません。しかし、現在のぼくは、それよりほかに、気持ちよく生きて行く道がないような気がしているんです。」
この言葉には、次郎だけでなく、みんなも強い刺激をうけたらしかった。ことに、朝倉先生は、その言葉をきくと、何かにおどろいたように目を見張り、しばらくして、うむ、うむ、と何度もうなずいたり、ながいため息をもらしたりしたほどであった。
恭一と道江とが帰ったのは、四時近いころだった。