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みんげいよんじゅうねん
民藝四十年
柳 宗悦
柳宗悦『民藝四十年』。同一底本的分册已合并为一书。收入:民芸四十年、改めて民藝について、四十年の回想。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,248 字 · 368 页
奉仕の心なき器は、器と呼ばるべきではない。用途なき世界に、工藝の世界はない。それは吾々を助け、吾々に仕えようとて働く身である。人々も彼らに便らずしてこの日を送ることが出来ない。用途への奉仕、これが工藝の心である。
それ故工藝の美は奉仕の美である。凡ての美しさは奉仕の心から生れる。働く身であるから、健康でなければならぬ。日々の用具であるから、暗き場所や、荒き取扱いにも堪えねばならぬ。彼らの姿を見られよ、丈夫な危げのない健康な美が見えるではないか。いつも正しき質を、また安定なる形をと選ぶ。か弱き身であるならば用を果すことが出来ぬ。この世界には病いは許されておらぬ。病いは働く者に近づかない。奉仕する者は多忙である。感傷に耽ってはいられない。忙しい蜂は悲しむ暇がないといわれる。廃頽に溺れてもいられない。用いる鍵は錆びないではないか。今の器が美に病むのは、用を忘れたからである。奉仕せよとて器を作らないからである。奉仕の心は器に健全の美を添える。健全でなくば器は器たり得ないであろう。工藝の美は健康の美である。
仕うる身であるから、自から忠順の徳が呼ばれる。そこには逆らう感情や、衒う心や、主我の念は許されておらぬ。