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なみあらくとも
波荒くとも
小川 未明
「小学五年生」1939(昭和14)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,368 字 · 11 页
いま、よく眠っている。」
小僧さんは、工場に寝ているところがないので、叔父さんの家へ帰されたのです。叔父さんの家は、やはりろくろく寝るところもない狭い家でありました。そして、貧しい暮らしをしていました。小僧さんの名は三郎といって、田舎から、この叔父さんを頼ってきたのです。そして、いまの製菓工場へ見習い小僧に入ったのでした。しかし叔父さんも、叔母さんもやさしい人であったし、二つ年下の吉雄くんもすぐ仲よしになったので、三郎は、公休日には、かならず叔父さんの家へ帰るのが、なによりの楽しみだったのです。叔父さんは、玄関を上がると、
「三郎が病気で、きているってな。」といいました。
「流感らしいんですね。肺炎になるといけないから、いま湿布をしてやりました。」と、叔母さんが、答えました。
「朝、寒いのに自転車で走ったからだ。大事にしてやれば、早くなおるだろう……。」
「人中へ出ていますと、気を使って、がまんをしますし、まだ年のいかないのに、かわいそうです。」
「なにしろこういう世の中だから、体も、心も、よほど強くなければ打ち勝ってはいかれない。」
「三ちゃんは、親戚だけど遠慮していまして、いじらしいんですよ。