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なみあらくとも

波荒くとも

小川 未明

「小学五年生」1939(昭和14)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,368 字 · 11 页

青空文庫

三

「いくつぐらいの子供かね。」と、奥の方にいた、もう一人の巡査が、たずねました。

「十三、四の、まだ小さい子供です。」

彼女は、こう答えると目頭が熱くなりました。自分の弟の姿が浮かんだからです。

「急病かな。」と、その巡査さんは、すぐに起ち上がって、交番から出ました。

彼女は、銀行の前へその巡査さんを案内しました。このときは、すでに四、五人も小僧さんのまわりに立っていました。巡査さんは、小僧さんの顔をのぞきこむようにして、なにかたずねていたが、少年の言葉は、そばにいるものにさえ聞きとれませんでした。

巡査さんは、ふいに顔を上げて、左右を見まわしながら、いいました。

「だれか、手をかしてくれませんか。病人を交番までつれていくのだが。」

「よし、おてつだいしましょう。」

労働者ふうの男と、勤め人ふうの若者が、前へ出ました。労働者は、少年の負っているお菓子の入っている箱を、勤め人は、自転車を、そして、巡査さんは、小僧をだくようにして、つれていきました。

みつ子は、もうこれでだいじょうぶだと思って、銀行の前からはなれたのです。

三

みつ子は、歩きながら、自分の弟のことを思い出していました。