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じんだいしのけんきゅうほう

津田左右吉歴史論集

津田 左右吉

津田左右吉『津田左右吉歴史論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:神代史の研究法、陳言套語、東洋文化、東洋思想、東洋史、流れ行く歴史の動力、日本上代史の研究に関する二、三の傾向について、日本精神について、日本に於ける支那学の使命、日本歴史の研究に於ける科学的態度、日本歴史の特性、歴史の矛盾性。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,964 字 · 229 页

青空文庫

天照大神は高天原にいられるとある。神々が高天原へ上ったり高天原から下ったりせられるとある。けれども日本人種・日本民族が海外の故郷から日本に移住したとか、その故郷へ往来したとかいうようなことは何処にも書いてない。出雲の神の話はあるが、出雲の地方に別種の民族がいたとは何処にも記してない。あるいはまた海の底の海神の宮の話はあるが、それが海上の島国であるとは何処にも書いてない。本文をよめば八股蛇はどこまでも蛇であり、八咫烏はどこまでも烏であって、少しも人間らしい様子はない。然るに世間で上に述べたような解釈をしているのは甚だ不思議の至である。これは何故であろうか。

他でもない。神代の巻の種々の物語に我々の日常経験とは適合しない不合理な話が多いからである。この不合理な物語を強いて合理的に解釈しようとするから、上記のような説が出るのである。天上に世界があったり、そこと往来したりするのは、事実としてあるべからざることである。海の底に人の住むところのあるのもまたあるべからざる話である。けれども神代の巻にそういう話のある以上は、それに何かの事実が含まれていなければならぬ。