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じんだいしのけんきゅうほう
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
津田左右吉『津田左右吉歴史論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:神代史の研究法、陳言套語、東洋文化、東洋思想、東洋史、流れ行く歴史の動力、日本上代史の研究に関する二、三の傾向について、日本精神について、日本に於ける支那学の使命、日本歴史の研究に於ける科学的態度、日本歴史の特性、歴史の矛盾性。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,964 字 · 229 页
本位であり、早くから政治的統制の存在した日本人の生活は、上代においてもそれとは全く違ったものであり、叙事詩の主題となり民衆の血を湧立せるような民衆自身の戦闘が少かった。小国家間の戦争がよしないではなかったにしても、それは君主の戦争であって民衆のではなく、そうしてそういう戦争すらも稀であって、上代の日本人は概して平和の生活を送っていたらしい。神の力や呪術の力を頼むことは日本人でも同様であったが、平和の生活、日常の生活におけるそれは、叙事詩の主題とはならないのである。アイヌのに限らず、一般の例として叙事詩の主題は何らかの異常の事件であり、上代のにおいてはそれは概ね戦闘であるが、これは叙事詩というものの本質から来ることであろう。叙事詩は行為を叙するものであるが、それが民衆の間に伝誦せられるものである以上、その行為は民衆の感情を昂奮させるものでなくてはならず、従って民衆の精神の具体化せられた英雄の行為であるのが、当然であり、異常の人物によって行われた異常の事件たることを要するのである。さてこの解釈の当否はともかくも、アイヌによって日本の上代が聯想せられるならば、アイヌが何故にああいう叙事詩を有つようになったかをアイヌの生活から考え、そうしてそれと同じ事情が日本の上代にもあったかどうかを討究しなければならぬことは