轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
東京に来て、いろんな話をして呉れ、とはちょっと言いにくかった。舟宿の主人は忙しいことにきまっているからだ。
「矢木栄介も釣りが好きだから、一度お宅の舟を借りて、釣りでもしながら、ゆっくり話が聞ければ――」
「いいですよ。前の日に電話して呉れりゃ、用意しときますよ」
加納はあっさりと承知した。
「たしかその栄介さんは、矢木君とふた児だったね」
「そうですよ」
舟宿の前の川は汚れて、油がぎらぎら浮いていた。舟がいくつもつながれている。川向うの家並の彼方に、赤い夕陽がかかっていた。
「この二、三日、またスモッグが多いね」
加納は手をかざしながら言った。
「沖に出て、東京のスモッグを通して見た太陽は、蒙古の太陽にそっくりですよ。もっとも蒙古のは煙じゃなく、砂ぼこりなんだけれどね」
「城介君はそこで自殺したんだそうですね」
加納は直接それに返事はしなかった。しばらくして夕陽から眼を離した。
「蒙古から生きて帰っても、すぐ再召集が来た筈ですよ。あたしゃニューギニヤに持って行かれた」
「ニューギニヤ? ひどい戦だったでしょうな」
「ひどかったねえ。二十四、五万行って、帰って来たのは七千二百人。