轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
医師のつめたい指が十二胸椎の辺を押えた。
「ここを押して、痛いですか?」
「いいえ。ちっとも」
「おかしいな。確かにこの骨はへしゃげている。昔、子供の時に、鉄棒から落ちたとか、何かで強く打たれたとか、そんなことはありませんでしたか」
さあ、と栄介は首をひねった。あるような気もするし、なかったような気もする。
「軍隊でね、崖から落ちたことはありますが、別に背中は打たなかった。もし打ったとすれば、その時痛いですか?」
「ええ。痛いですよ。この程度押しても、我慢が出来ないほどです」
医師の指はふたたび胸椎を押した。痛みはなかった。指はそろそろと背中を這って、右の脇腹の上にとまった。
「ここにへんなコブがある。変だな。痛いですか」
そこにも何の感じもなかった。
「前からありましたかね?」
「いいえ」
栄介は右手を廻して、それに触れて見た。卵ぐらいの大きさのぶよぶよしたものがあった。その感触に、突然栄介はするどい戦慄を覚えた。
「寒いですか」
栄介は黙って寝巻で背をおおい、ベッドの上に横になった。医師は少し考えたあと、静かに言った。
「一度レントゲンをとりましょう。明日、うちに来て下さい」