轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
「その女の子、城介君に似てたかね?」
「いや。赤いセーターを着ていたことは覚えているが、顔は忘れた」
栄介は答えた。
「相手が人妻だとは言ってたが、葬儀屋の内儀とは知らなかった。あんたの説明で、今判ったんだよ。自分のことは自分で決着をつけるからって、相手の名は教えて呉れなかった」
「葬儀屋? 彼は葬儀屋に勤めてたんですかい?」
栄介はうなずいた。
「へえ。わたしゃ彼が小さな会社にでも勤めていたのかと思っていた」
「その地図と名前を書いた時、城介はもうパビナールを使用――」
「多分そうだと思うな」
加納は道具をしまいながら答えた。
「アドレナリンとかエフェドリンなんか、あまり効かないんですよ。症状をやわらげる程度で、時間が経たなきゃ発作はおさまらない。しかしパビアトを打つと、とたんに苦痛がぴたりととまるんだね。自分らは衛生下士官だから、薬品の管理を委されている。パビアトの数量など、ごまかそうと思えばごまかせるんだ」
「あれは気持のいいものかね」
「いや。わたしも衛生兵時分に、一CCの半量を冗談半分に打ったことがあるが、冷汗が出て、はげしい吐気がしてね、えらく気分が悪かった。