轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
「やはり坐りづめは、まだムリだな」
その時加納が店の方から、黒い陶器の瓶をぶら下げて、部屋に入って来た。卓の前にあぐらをかいた。
「これがパイチュウです」
湯呑みに注ぎ分けた。
「先だってあるお客さんと、その人は戦時中満洲に行っててね、これの話が出たら、その次の時土産に持って来て呉れたんだ」
私は一口含んだ。ちょっとした癖があるが、味は悪くなかった。私は訊ねた。
「これ、何からつくるんです?」
「高粱だね」
加納は舌を鳴らした。
「これはどうも内地製らしい。向うのはもっときつかったような気がする。もっともわたしの手が上ったせいかも知れないがね」
「密輸というと、瓶ごと買って――」
「いや。一升瓶やビール瓶を持って、はかりで買って来るんですよ。さあ。一升でいくらぐらいだったかなあ。なにしろ二十年も前のことだから」
内儀さんがかんたんな肴を運んで来た。栄介もごそごそ這って、卓に近寄って来た。外はまだ明るかったが、部屋は北向きなので、軒端には少しずつ夕昏がたまり始めていた。
オルドス作戦から厚和に戻り、またばらばらに各守備隊に配属される。加納と城介はそこで別れる。
加納は山西省霊丘県に行かされた。